
ドレスコードをはじめとする装いのルールの中で、メンズシャツでは衿やカフスの形、ボタンの素材や縫製仕様など、ディテールに違いを持たせることで、着用者の個性を演出することができます。
その中でも、「クレリックシャツ」は他と一線を画すデザイン要素により、力強さと洗練された雰囲気を、あなたのコーディネートに付け加えます。
一度は見かけたことがある、身生地と衿が別生地で仕立てられた「クレリックシャツ」。
今回は、日本国内でも独自の進化を遂げたこの歴史あるデザインについて、基礎知識と共に魅力と着こなし方をご紹介していきます。
1. クレリックシャツの名前の由来
いきなりですが、「クレリックシャツ」が日本国内でしか通用しない名称であることをご存知でしたか?
とある文献によると、聖職者が着用している僧服にデザインが似ていたことから名付けられたというこの名前。
なぜこのような名前で呼ばれているのか?また、世界ではどのように呼ばれているのか?
まずは「クレリックシャツ」の名前の由来や、海外でも通じる名称について解説いたします。
クレリックシャツ」は和製英語

「クレリックシャツ」は、ワイシャツと同様に日本独自の呼称です。
この名前はアイビールックが流行した1960年代に、様々なアイテムと共に「クレリックシャツ」が輸入されたときに、特徴的なこのシャツを区別するために名付けられたと考えられています。
名前の由来とされている先述の僧服ですが、キリスト教の聖公会やカトリック、ルーテルなどでは、聖職者はキャソックと呼ばれる、くるぶし丈で立ち襟のワンピースを日常的に着用していました。
この服の首元のデザインはローマンカラーまたはクレリカルカラーと呼ばれ、黒の立ち衿に合わせて白の付け衿が首回りにあしらわれています。
この身生地とのコントラストを生むデザインの類似性から、聖職者(=クレリック)から名前を取って、「クレリックシャツ」と呼ばれるようになったのでしょう。
余談ですが、現代では聖職者の方の平服はより簡略的なものになり、『クレリカルシャツ (Clerical Shirt)』もしくは『クラージシャツ (Clergy Shirt)』と呼ばれているローマンカラーのシャツを着ることが多くなっています。
「クレリックシャツ」の本当の名前
実は、海外において「クレリックシャツ」を指す名称はいくつかあります。こちらでは、特に世界中の人々に知られている2つの名称についてご紹介いたします。
コントラストカラーシャツ (Contrast Collar Shirt)
身生地と対照的な別生地を用いた衿のデザインを、とてもシンプルに説明した名称です。
具体的にカフスも含めて『Contrast Collar and Cuff Shirt』や、シャツへの補足説明的に『The Shirt with a Contrast Collar (and Cuff)』もしくは『The Shirt with a White Collar (and Cuff)』という表現もあります。
ウィンチェスターシャツ (Winchester Shirt)
カッターシャツと同様に、商標として命名されたものが一般化した名称です。
アメリカの実業家のオリバー・フィッシャー・ウィンチェスターは、1848年にシャツ工場(Winchester-Davies Shirt Manufacturing Co.)を共同設立して、デタッチャブルカラーの「クレリックシャツ」のデザインで『ウィンチェスターシャツ』の商標を取得。
その後、同氏はドレスシャツ事業の成功のみならず、武器会社の創設と『ウィンチェスターライフル』の開発、コネチカット州副知事を歴任するなど、八面六臂の活躍を繰り広げました。
2.「クレリックシャツ」の誕生

1827年、ニューヨーク州トロイに住む主婦のハンナ・モンタギューが、取り外し可能な衿であるデタッチャブルカラーを考案したことが「クレリックシャツ」のルーツです。
綺麗な白い衿は豊かさの象徴でもあった、この時代。
人々はシャツの清潔さを保つために、洗濯に時間と労力をかけて、汚れの無い状態で着用をすることが一種のステータスとなっていました。
モンタギュー夫人はそのような日々の家事による手間を少しでも節約するために、シャツから衿を切り離し、汚れやすい衿のみを洗濯するということを思いつきました。
その後、地元の実業家であるエベネザー・ブラウンがこのアイデアに注目したことで、デタッチャブルカラーのシャツはトロイの主要産業の一つとなり、世の人々が洗濯に割く時間と労力を削減することに大きく貢献しました。
この取り外し可能な衿は、基本的には白い生地を使用しており、デタッチャブルカラーの人気が終焉を迎えた以降も、「クレリックシャツ」のデザインとして現在も受け継がれているのです。
3.「クレリックシャツ」のコーディネートのポイント

ビジネスシーンでは爽やかで快活な印象を与え、結婚式やパーティーなどでは洒落っ気を引き立たせてくれる「クレリックシャツ」。
今回は、SKYRTAの運営会社であるフレックスジャパン株式会社にて、企画一筋30年の大ベテランである丸田さんにお話を伺いました。

映画『華麗なるギャツビー (The Great Gatsby)』や『ウォール街 (Wall Street)』の劇中の着こなしのように、ネクタイと組み合わせてスタイリッシュで華やかなコーディネートが、個人的には一番恰好良く感じます。
ジェイ・ギャッツビー※のスタイルであれば、ブルーのピンチェックの生地に、ラウンドの衿型とダブルラウンドのカフス。
(ジェイ・ギャッツビー※=『華麗なるギャツビー (The Great Gatsby)』の主人公)
また、ブルーのブロックストライプの生地に、ワイドの衿型とダブルスクエアのカフスであれば、ゴードン・ゲッコー※のイメージに仕上がりますよ。
(ゴードン・ゲッコー※=『ウォール街 (Wall Street)』の主人公)

¥10,890~
生地特徴:綿素材 / コンパクトヤーン
素材:綿100%
糸番手:60/1×60/1

¥12,100~
生地特徴:綿素材
素材:綿100%
糸番手:100/1×100/1
そして、ドレスシャツの企画担当として、「クレリックシャツ」でとても興味深く感じたのが、日本独自のデザインとして生まれたボタンダウンとの組み合わせでした。
ボタンダウンのスポーティーな雰囲気と、「クレリックシャツ」のドレッシーなイメージが相反するためか、欧米ではほとんど見かけないのですが、国内でクールビズが始まった頃に、ノーネクタイ用のシャツとして登場してきたように記憶しています。
ネクタイを付けなくなったことで、首元のVゾーンが視覚的に寂しく感じた方たちが、「クレリックシャツ」をデザインシャツとして捉えて、それが一般の人たちにも広がっていったことが、とても衝撃的で面白く感じました。

また、「クレリックシャツ」といえば、サックスブルーの無地、もしくはネイビーのブロックストライプの身生地に合わせるのが王道スタイルですね。
衿とカフスが白になるので、派手な色の身生地のシャツであっても、ネクタイとジャケットに馴染みやすく、上級者向けな見た目をしていますが、初めての方でも意外と着こなしやすいオススメのデザインですよ。

¥9,790~
生地特徴:綿素材
素材:綿100%
糸番手:50/1×40/1

¥9,790~
生地特徴:綿素材
素材:綿100%
糸番手:50/1×40/2
白無地のシャツだと地味すぎる、また色柄のシャツだと目立ちすぎる。
「クレリックシャツ」はそのように感じる人々の冒険を後押しするだけでなく、清潔感あるエレガントなスタイルを演出する上で最も効果的なデザインの一つです。
この機会に「クレリックシャツ」で、あなたのワードローブに彩りを加えてみませんか?
